オメガバース 絶対αとΩ

オメガバースの小説を書いてみたくて

5人の絶対αと一人(俺!)のΩ 三話-先生のいけないアドバイス2

ノックと同時に、応接室の扉が開いた。
「田代先生、お呼びですか?」
挨拶も無しに、部屋に入ってきたのは、すらりと背が高く、ちょっとつり目の狐顔の美人、いや、美少年だった。
田代先生は、手をヒラヒラさせながら、
「呼んだ、呼んだ。こっち来て」
「うちの担任でもないのに、呼び出さないでよ」
文句を言いつつも、ニコニコしながら、その美少年はみやびの近くまでやって来た。
「紹介するよ。今日からうちに来た、雅!俺のクラスだよ」
さっと手を広げて、雅を紹介する。
「雅、この子はA組のΩだよ」
「あっ!この子が噂の絶対αの選んだΩか!」
その美少年は、遠慮も無しに雅の頭から足先まで視線を這わせる。
「よろしく、俺もΩ。宇崎一世です!うさ君って呼んで」
人懐こい笑顔を見せて、雅の隣に腰掛けると、肩を抱いてきた。
雅は、急に肩を抱かれて驚いて、へどもどしながら、
「あ、初めまして雅です。えっと宇崎君?」
「固いなあ、うさでいいよ。うさで!」
田代先生が肩をちょっと竦めて、
「あれ?雅は人見知りか?宇崎君、親切にしてね。雅は、初めてαの学校に通うんだから。」
うさが不思議そうに首を傾げながら、
「初めて?え?今までは?」
「あ、俺は今までβの高校だったから」
「薬で発情を抑えて、βのふりしてたの?それは!大変だっただろう」
「えっと、そうじゃなくて‥」
雅がもごもごしてしまう。
「まあ、その辺はいつか話せるときに話しなさい。それより、宇崎、悪いんだけどさ。今日から暫く雅の面倒見てやってよ。うちの組は、ほらΩが今まで居なかったからさ。」
「面倒?別に良いけど。この子の面倒なら、絶対αの誰かに任せれば?」
田代先生は、目の前にある雅の転入書類をまとめながら、
「下手に誰かにお願いするとさ。お願いされない絶対αに恨みを買うからね。君子危うきに近寄らずだよ。雅については、常に公平に、誰かに偏らずに対応しないとね」
「まあね、元々αは競い合う生き物だし、Ω絡みなら熾烈になるのは目に見えてるもんね。その点、Ωの俺なら公平ってわけね!OK!」
雅に顔を向けて笑顔で、
「雅のことは、おれ!うさにお任せ下さい。雅、何でも聞いてよ」
「詳しいことは、追々で良いからさ。取り敢えず、うちの組に行くのは後回しで、学校案内しながら、学校でのΩの立場的な話ししてやってね」
田代先生は、書類を小脇に抱えて立ち上がり、それにつられて雅とうさも立ち上がる。
「じゃ、宜しくね」
「じゃあ、学校案内するから行こうか!」
「あ、宜しくお願いします」
雅は頭を下げて、田代先生、うさと一緒に応接室を出る。
「一通り案内しちゃって、A組の先生には宇崎を借りるって言ってあるから。一限目は出なくて良いよ」
「お!ラッキー!雅のお陰で得した!じゃ、先生失礼します!」
うさは、雅の肩を抱いて歩き出す。
「雅!何でも、宇崎に聞いていいからな!
宇崎、案内終わったら職員室連れてきて」
「はーい」
うさと雅は、田代先生に見送られて歩き出した。